木脇啓四郎描く-幕末・明治の薩摩藩文化官僚の画業

貴重書公開展とは

鹿児島大学附属図書館で所蔵する、島津家関連の書籍コレクションである玉里文庫をはじめとする各種貴重書は、鹿児島の文化遺産として価値の高い資料です。
平成11年度に、大学創立50周年を記念して玉里文庫を初めて一般に公開し、本学を会場に第1回の展示会および記念講演会を開催しました。平成12年度からは、大学内だけでなく県内各地でも、展示会と記念講演会を毎年実施してきました。平成21年度からは、資料館等との合同企画展(隔年ベース)を開催する等、展示内容の一層の充実を図っています。

木脇啓四郎描く-幕末・明治の薩摩藩文化官僚の画業

(鹿児島市立美術館・鹿児島大学附属図書館合同企画展)

幕末から明治に活躍した木脇啓四郎(きのわき けいしろう. 1817~1899)の業績を、その画業を中心に紹介する展覧会です。
啓四郎は薩摩藩城下士の嫡男として生まれ、やがて薩摩藩の文化的な業務に携わるようになります。絵は四条派の税所文豹に学び、その画技を活かして安政期には藩内に残る武具を写しています。明治期には博覧会のための産物調査に従事するとともに、世に知られる『麑海魚譜』(げいかいぎょふ)や『薩隅煙草録』の絵図制作を担当しています。また、磯天神拝殿の格天井の修復など生涯にわたり多彩な活動を行いました。子孫宅から鹿児島大学附属図書館に寄贈された木脇家文書には、絵画の模写から風景画、風俗画、植物図など多様な画稿類が含まれています。これらの中から資料的に価値の高いものを選び出し、彼の経歴と関連づけながら、中島信徴や江口暁帆など交流のあった薩摩の絵師たちの作品もあわせて紹介します。知られざる薩摩藩文化官僚の業績とその意義に触れていただければ幸いです。
なお、本展覧会は鹿児島市立美術館と鹿児島大学附属図書館が共同で行う初の企画です。

開催期間:平成25年2月13日~平成25年3月31日
開催場所:鹿児島市立美術館 2階企画展示室

ライブラリーニュースも合わせてご覧ください。

学芸講座

演題:『木脇啓四郎 人と業績』

講師:丹羽 謙治(法文学部教授)

開催日:平成25年3月10日
開催場所:鹿児島市立美術館 地下会議室

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演題:『薩摩画壇と木脇啓四郎』

講師:山西 健夫(鹿児島市立美術館学芸係長)

開催日:平成25年3月10日
開催場所:鹿児島市立美術館 地下会議室

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図録

丹羽謙治編

執筆:丹羽謙治、山西健夫、粟国恭子、小濵亜由美