図書館について

 

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附属図書館長 橋口 知

 感染拡大対策下での図書館運営も3年目に入りました。図書館資料を活用しながら学生や教職員がともに考え検討する場として整備したラーニングコモンズも、一定間隔を確保した机の配置へ模様替えし、発語無しの一人での使用を継続しています。ただ、遠隔授業の受講だけでなく、印刷メディア(図書、新聞、雑誌等)や電子メディア(アプリ、 web サイト、動画サイト、データベース、電子書籍等)など、複数の図書館メディアを同時に使用する現在の学習スタイルは、従来よりも広い学習スペースを必要としますので、感染対策として中央図書館全体で座席数を約半数に減らさざるをえませんでしたが、一方で個人スペース確保の面では学習しやすい環境の提供にもなっているようです。
 さて、国立大学図書館協会では、2021(令和3)年に「国立大学図書館機能の強化と革新に向けて~国立大学図書館協会ビジョン2025~」を採択し、その基本理念を「国立大学図書館は、社会における知識基盤として、デジタル・非デジタルを問わず、知識、情報、データへの障壁なきアクセスを可能にし、それらを利活用するための環境を利用者に提供することで、教育の質保証、研究力やイノベーション力の強化を推進する国立大学の教育研究活動を支え、社会における新しい知の共有や創出の実現に貢献する」と定めています。この実現のために、蔵書を超えた<知識や情報>の共有(知の共有)、新たな知を紡ぐ<場>の提供(知の創出)、知の交流を促す<人材>の構築(知の媒介)を3つの重点領域とし、各大学で2025年を一つの節目に目標及び行動計画を設定して取り組み、また、SDGs実現に向けて活動することになりました。
本学においては、これまで学長裁量経費の単年度事業であった本学所蔵玉里島津家蔵書のデジタル画像化及び公開事業につきまして、株式会社鹿児島銀行様に本事業の趣旨にご賛同いただき、「かぎん『玉里文庫』貴重書保存事業基金」を昨年度末に設立して取り組み始めました。さらに本年度から法文学部を中心に文理融合型「『鹿児島の近現代』教育研究拠点整備事業」が開始されたことを機に、各分野の専門家にご協力いただき、所蔵する貴重書や郷土資料に関する「総合知」の創出や、研究成果の公開及び講演会の開催等を通した地域社会への貢献などを促進する計画です。
本年7月にリニューアルオープン予定の桜ヶ丘分館、分館蔵書を保管していた中央図書館の個室等につきましては、各館学生モニターなど利用される方々の要望を可能な限り活かした運用となるように努めます。また、オープンキャンパス向けに、昨年度の中央図書館学生サポーターの方々が中心となって作成した図書館紹介動画を、現在、図書館ホームページで公開しています。引き続き、主たる来館利用者である学生と図書館職員との協働を進めてまいります。
 研究支援面では、オープンアクセス・オープンサイエンスに係る体制整備が課題の1つです。本年4月の学内共同教育研究施設の組織改編で、情報基盤統括センターが開設され、その中に「図書館メディア情報部門」が設置されました。同時に事務組織も、同センターと図書館の担当が一元化されて情報推進部となりましたので、本学図書館の保有するデータのデジタル化や学術情報の利活用、学内外への情報発信等の諸活動がこれまで以上に推進されることと期待しています。