
附属図書館長 山本 智子
大学図書館は、大学の機能を支える「知のインフラ」と位置付けられており、教育研究に関わる学術情報の体系的な収集、蓄積、提供を役割としています。近年、対象とする資料が紙媒体からデジタル情報へと広がるにつれて、その役割はますます多様化してきました。先人から引き継いだ貴重な資料を適切に保管し、次世代に引き継ぐと共に、引き続き体系的に学術情報を収集・蓄積する必要がある一方で、加速度的に進歩していく自然科学分野においては最新情報へのアクセスも確保しなくてはなりません。加えて、地方大学の附属図書館は、学問の世界にとどまらず地域社会における知のインフラとしての働きも期待されます。
鹿児島大学では、令和7 年度から「未来共創オープンサイエンス推進事業-地域課題解決型「KAGOSHIMA モデル」の形成-」を立ち上げ、附属図書館にオープンサイエンス研究開発部門を発足させました。オープンサイエンスとは、研究者だけでなく誰もが研究データや学術情報に自由にアクセスできるようにすることで、研究プロセスの透明化を担保すると共に新たな協働による知の創出を目指すものです。附属図書館はこれまで、鹿児島大学に所属する研究者が学術情報にアクセスする方法、すなわち学内研究者に対する学術情報の提供を重要な任務としてきましたが、オープンサイエンスという文脈の中では、本学の研究者が得た研究データの公開や学術論文の発信の窓口という役割も期待されます。そのため、従来から整備してきた鹿児島大学リポジトリを地域に向けて開かれた窓口として位置付け、その強化に取り組むと共に、リポジトリを軸にして鹿児島大学の研究発信力の向上に貢献していきたいと思っております。
総合大学である鹿児島大学では、様々な専門分野で幅広い研究が行われており、扱われるデータのタイプも様々です。多様なデータタイプに対応し、研究者側の利便性に配慮しつつ、関係者の権利に配慮して、データを適切に管理する、難しい課題ではありますが、インフラとして研究の下支えをしっかりとしていきたいと考えています。また、地方の総合大学がどのようにしてオープンサイエンスに対応していくのかという意味でも、この事業の進展がそのまま「KAGOSHIMA モデル」となることが期待されます。
一方で、教育におけるインフラ機能はどうでしょうか。ラーニングコモンズやグループ学習室、桜ヶ丘分館の夜間開館(試験期間のみ)などを通して、学生の能動的な学びを支えることに重点を置いており、今後も情報を主体的に利用・発信する能力を涵養する手助けをしていきたいと思っています。しかしながら、郡元キャンパスの中央図書館は今年で築30 年を迎え、様々な設備に不具合が生じてきました。今回、毎年トラブルを起こしてきた全館空調を全面改修することになり、一定期間の閉館を余儀なくされることとなりました。できるだけ学業への影響を避けるため、前期試験終了後から冬期に向けての閉館となります。資料が閲覧できなくなるだけでなく、試験勉強やレポート作成に必要な「場」を提供できなくなることは大変心苦しいのですが、可能な限りのサービスは続けていきますので、ご理解頂けると幸いです。